病気のこと

感覚障害

感覚障害

感覚にはいくつかの種類があります。
温度覚、痛覚、触覚、振動覚、手足がどんな方向に向いているかを感じる位置覚、手足の指を上へ曲げたり下へ曲げたりされたことが分かる受動運動感覚などがあります。

これらの感覚を伝える神経は、集まって背骨の中を通る脊髄という神経の中に、それぞれの居場所を確保します。
温度覚と痛覚を伝える神経は脊髄の同じ場所にあります。

振動覚、位置覚、受動運動覚をひっくるめて深部知覚といいますが、これと触覚は脊髄の同じ場所にあります。
そして、脊髄は脳につながり脳内の色々な感覚を感ずる場所につながっています。
ですから、感覚を伝える神経が色々な場所で色々な範囲で障害されることで、感覚障害もそれに応じた特徴を持つことになります。

手袋・靴下に覆われた場所に左右対称に全部の感覚の低下、しびれ、痛み、力が入りにくい等の症状があれば、多発性神経炎が考えられます。
原因としては糖尿病、膠原病、中毒、ウィルス感染などがあります。

脊髄を外から圧迫するような病気では足から始まる温度覚と痛覚の障害が起こります。
しびれ、痛み等が両側性に足に起こり次第に上の方に広がります。
原因としては脊椎の変形や、椎間板ヘルニアがあります。

腕や体幹部などの一部のエリアにひどい痛みがあり、咳やくしゃみで増強するなら、脊髄の入り口で神経に障害があることが考えられます。

歩く時ふらつく、目を閉じるとふらつく等の症状があれば脊髄の深部知覚の障害が考えられます。
ビタミンB12欠乏や梅毒で起こります。
ビタミンB12欠乏は胃の手術をした後にも起こることがあります。

脊髄の動脈が詰まると両足の感覚が低下し、足がつっぱた状態で麻痺が起こります。
また、排尿排便に支障が出ます。
脳梗塞では、運動麻痺と同じ側に感覚麻痺やひどい痛みが起こります。
感覚障害は運動麻痺より回復するのに時間がかかります。
原因を検査し、必要なら手術します。
薬は神経の回復を促すビタミンB12や血液循環改善薬、痛み、しびれを和らげる安定剤が使われます。
冷やさないことも大切です。