独り言

惜別の想い。

天国

惜別の想い。

院長のひとりごと115

今年の7月に、かけがえのないクリニックのスタッフを失いました。
余命3ヶ月と宣告されてから、およそ2年間の闘病生活を経て亡くなりました。
享年55歳惜しまれてなりません。
彼女はとても強い人でした。
いつもにこにこと笑顔で接する人でしたが、自身の病気を知ってもその姿勢は変わりませんでした。
笑顔を絶やさなかったことが、彼女の免疫能を高めたのかもしれません。
亡くなる3週間前に会いに行ったときも、両手に点滴の針が刺さった姿で笑顔で迎えてくれました。
薬のせいで頭は丸坊主で「こんな頭で。」と申し訳なさそうに言うので
「僕とおそろいや。」と薄くなった頭を彼女に差し出しました。
私は彼女の両手を思い切り強く握って笑いかけました。
お見舞いにお花と一緒に手紙を持って行きました。
彼女が素晴らしく強い人であることに敬意をはらっていること。
その笑顔が太陽の様にクリニックで輝いていること。
自分はそんな彼女と同じクリニックのスタッフでいることを心から誇りに思っていること。
等を書きつづりました。
私の父が亡くなる前、病床で気管挿管されて話せない中、私の手を痛いくらいに握りしめたその感触が忘れられません。
私はそんな父に「僕はお父さんの息子であることを心から誇りに思っている。」と伝えたかったのですが、なんだか別れの言葉を交わすみたいでとうとう伝えられませんでした。
翌週父に会ったときには、もう強く握り返す力はありませんでした。
父には伝えられなかった心残りから、彼女を見舞うとき、どうしても手紙を渡したかったのです。
彼女の訃報を聞いたのは東京出張からの帰りでした。
お通夜には列席できましたが、仕事で葬儀には参列できませんでした。
彼女の安らかな顔はほほえんでいるかのようでした。
ずっと看病していた娘さんの結婚式の3週間前のことでした。
いつも笑顔で回りのみんなを気遣い、クリニックで働くことを喜びとしてくれた彼女は、最後まで前向きに生ききりました。
そして、息を引き取った日にクリニックを退職しました。
心から心からご冥福をお祈りいたします。

2014年9月19日