独り言

「昭和」の時代

昭和

「昭和」の時代

院長のひとりごと157

NHKの朝の連ドラが、丁度昭和30年代を舞台にしたものでした。
主人公が私とほぼ同年代の設定なので、とても親近感がわきました。
主人公は貧しい農村の出身です。
私は町中で何不自由なく育ったので、あの頃の農村がこんな生活を送っていたのかとかなりショックを受けました。
本当に貧しい暮らしの中で、鶏が卵を産んだ日だけ食べる卵料理のシーンを見て、うちでも卵は贅沢品だったと思い出しました。
何とも見ていて切ない気持ちになることがしばしばでした。
東京へ出てきてからも、生活を切り詰めて実家へ仕送りをする主人公の姿が何とも印象的でした。
私も家は豊かでしたが、何でもかんでも与えられたわけではなく、それなりに我慢をすることが多かったです。
このドラマの主人公のように生活のため、やむなくの我慢ではなかったですが、この時代の人は、誰もがなにがしかの我慢をしていたし、それを美徳ととらえていたと思います。
我慢、辛抱という言葉がネガティブではなかった時代でした。
だからこそこドラマの中のシーンのように、ハヤシライス一杯、カツサンド一口で、とても幸福な気分になれた時代でした。
そしてそんなささやかな幸せを、家族や友人と分かち合うことで喜んでいた時代でした。
携帯も無く、エアコンも無く、電子レンジも無く、家庭に風呂がある家は少ない時代でした。
近所には怖いおじさんやおばさんがいて、子どもがいたずらすると誰彼かまわず注意していました。
近所の家同士が色々なものを借りたり貸したりしていました。
そんな思い出深い昭和が映し出されたドラマでした。
平成の現在「昭和」は古い過ぎ去った時代として扱われています。
私たちが「明治」を過ぎ去った時代と見ていたのと似ているかもしれませんが、私たちは明治をある種の畏敬の念で見ていました。
平成も30年で幕を閉じることが決まりました。
新たな年号の元で時間が過ぎる中、平成も「平成」と見なされるときが来るでしょう。
平成の若者は、自分たちの時代に昭和の私たち同様の、自負と誇りを持つことができているのでしょうか。

2018年1月16日