独り言

沈黙は金

上から目線

院長のひとりごと222

最近、地位のある人や有名人の失言が取り沙汰されることが多い気がします。
なぜそんなことを言ったのか、心の声が漏れたのか、場を盛り上げようと悪乗りしたのか定かではありません。
ただ私が確かだと思うのは、その人にはおごりがあったのだということです。
所謂上から目線で物事を見ているからこそ、無神経な失言が生ずるのだと思います。
「何様のつもりだ。」という批判を受けるべき態度だと思うのです。
地位とか名誉とか、他人があれこれもてはやしても、それを真に受けるのはいささか軽薄に思えます。
もっと自分を冷静に見るべきではないでしょうか。
これは私にも勿論当てはまることで、今まで自分の気づかないところで、色々と不快な思いをさせてきていると自覚しています。
それはひとえに自分の謙虚さの欠如によるものだと思っています。
世の中には私とは真逆のゴッドハンドと呼ばれる、素晴らしい技能を持った医師がいます。
世間から絶大な支持を受けているのはある意味当然ですが、自分自身を神と思うなら、道を踏み外すかもしれません。
医師は病気と対峙する仕事です。
医師を訪れる人は、病気を癒やして欲しくてやってきます。
決して喜んで来るわけではなく、出来れば来なくてすむ人生を望んでいます。
つまり私たち医師は、病という人の不幸の上に成立している職業です。
そう考えるなら、医師を聖職などともてはやされることに浮かれていいはずがないと思います。
遊園地やショッピングモールやレストランで働く人たちは、人々が喜んで望んでやって来てくれる場所で働いています。
人に喜びを与える職業こそ聖職と呼んでもいいと思います。
医師が己を卑下しながら日々を過ごせとは思いませんが、患者さんがどんな思いでやってきたかを忖度するなら、何を言われてもひたすら受け入れ、失言などけっしてすることなく、沈黙するのが私は正しいと思います。
「患者さんが言っているのではない。病気がいっているのだ。」と、若い頃先輩医師から言われたことがあります。
人は皆平等であり、上からものを言っていい地位や職業はこの世には無いと思うのですが。