独り言

四季折々の味覚

冬の味覚

四季折々の味覚

院長のひとりごと101

最近は、年中食べることができる食べ物が随分と多くなりました。
果物でも、イチゴは以前から年中ありますが、びわや柿や桃なども、スーパーで並んでいて、こんな時期に、と驚くことがしばしばです。
私は水ナスの漬け物が大好きで、夏を心待ちにしていたのですが、最近は春から秋まで、水ナスの漬け物が出回っています。
あれば食べるし、食べると美味しいのですが、感激が減ってしまいました。
出雲で知った津田カブの漬け物も好物です。
津田カブの漬け物には、季節感を大切にしてほしいと願っています。
高級なお店は走りとも言えないくらい、早い時期に食材を使い、肝心の旬にはもう使わない店が多くなりました。
一番美味しい旬にこそ、使ってほしいと思うのですが。
金沢の冬のごちそうに、かぶら寿司というかぶらにブリを挟んで麹で漬けたものがあります。
お正月には欠かせない一品で、昔は各家庭で作っていました。
しかし、今は夏でも売っています。
旅行客にはありがたいことでしょうが、何か私にはもの足りません。
京都に村上重という、飛び抜けて美味しい千枚漬けのお店がありますが、ここは冬しか千枚漬けはありません。
毎年冬になると「もう村上重では千枚漬けを始めたかな」と、そわそわします。
こんなことをのんきに書いているのは、飽食の時代ぼけのせいだとお叱りを受けるかもしれません。
確かに飢えと闘っている、地球上の多くの人たちのことを思えば、お叱りを受けて当然です。
ですが、「便利ということが何者にも勝る最優先事項なのか?」と日々の生活の中で、最も関心のある食について考えたとき、ふと思ってしまった次第です。
便利になると、確かに最初は感激します。
しかし、やがてそれが当たり前になり、何にも感じなくなってしまいます。
一昨年の水害時の断水以来、水の大切さを知り、節水を心がけるようになりました。
停電はしませんでしたが、節電にも心がけ、クリニックも節電のため全面的に照明をLEDに変えることにしました。
無くて不便・不自由であることは、感激や感謝を無くさないためには欠かせない必要悪かなと思う次第です。

2013年7月18日