独り言

おくり家

おくり家

院長の独り言179

母が私に残した金沢の実家を、人に貸すことにしました。
今注目されている、空き家問題解決のためです。
母が倒れて7年空き家状態でした。
母が亡くなって2年が過ぎました。
金沢は毎年雪が降るので、実家の前の道の雪除けは近所の方の好意に甘えていました。
しかし、いつまでも甘えているわけにはいかないので、実家をきちんと管理する必要が出来た次第です。
理想は私が住むことですが、それは望んでもすぐには不可能なので、次善の策として人に貸すことにしました。
私が相続したとはいえ、弟の実家でもあるので、彼と相談して外見はなるべく現状を保存するという条件で、借り手を探すことにしました。
幸いなことに金沢では、今古民家を利用したお店が人気らしく、服や小物などを扱っている若いご夫婦が借りて下さいました。
内装は原状復帰の必要無しで自由に改装可。
ただし建物の保全管理維持の費用は、一切借り手負担という条件で、家賃は先方の希望額で契約しました。
家賃の額を聞いて驚く人もいますが、私にとってはローリスク・ローリターンの契約で満足しています。
4月にお店(Taine)のプレオープンの案内を頂きましたが、都合がつかず5月の連休にお店に行きました。
外見は全く変わっていませんが、中に入ると全く変わっていてびっくりしました。
純和風の家が打ちっぱなしのようなおしゃれな内装のお店に変貌していました。
お店の主の若いセンスに驚いた次第です。
薄暗くほこりまみれになっていた実家を、すっかり生まれ変わらせてくれたことに心から感謝しました。
私は知らなかったのですが、金沢には家を誰かに譲る時に中の物をいろいろな人に引き取ってもらう「おくり家」というセレモニーがあるそうです。
借り手のご夫婦は、私たちの代わりにこのおくり家のセレモニーをしてくれて、さらに私の実家に新たな命を吹き込んでくれました。
すっかり生まれ変わった実家の様子を、亡くなった父母もきっと喜んでくれていると思います。
素敵なセンスの品々が、お店には置いてあり、思わず数点買いました。
金沢においでの折は是非お立ち寄り下さい。