血液透析の原理
人工透析の原理ですが半透膜という微細な穴の開いた膜を介して物質が移動する二つの原理を利用しています。
1.拡散
これは半透膜を介して濃度の濃い方から薄い方へ物質が移動する原理です。
![人工透析](https://www.kumanoji-clinic.or.jp/wp-content/uploads/2020/10/toseki_04.jpg)
この原理により血液中の老廃物を除去します。
2. 限外濾過
これは半透膜を介して圧の高い方の液から低い方の液への物質が移動する原理です。
![人工透析](https://www.kumanoji-clinic.or.jp/wp-content/uploads/2020/10/toseki_05.jpg)
この原理により血液中の水分を除去します。
2.限外濾過
これは半透膜を介して圧の高い方の液から低い方の液への物質が移動する原理です。
![人工透析](https://www.kumanoji-clinic.or.jp/wp-content/uploads/2020/10/toseki_06.jpg)
この原理により血液中の水分を除去します。
さらにこの原理を利用して拡散では除去しきれない物質の除去を行います。
現在透析方法には以下のものがあります。
1. 拡散を主に一部限外濾過を利用した血液透析(hemodialysis HD)
2. 拡散と同様に限外濾過を利用した血液透析濾過(hemodiafiltration HDF)
3. 血液透析に間欠的に血液透析濾過を組み入れた間歇補充型血液透析濾過
(intermittent infusion hemodiafiltration, I-HDF)
【 人工透析回路 】
実際の人工透析がどのように行われるかを簡単な図にしたものがこの人工透析回路図です。
患者さんの動脈から取り出した血液をダイアライザーに通します。このダイアライザーは半透膜でできたチューブが沢山集まってできています。そしてこのチューブの外を透析液という清潔な液で満たします。血液と透析液はそれぞれ専用のポンプを使って一定の速度でダイアライザー内を流れます。その流れの向きは反対になっており血液の浄化効率を上げるようになっています。半透膜を介して先ほど説明した拡散と限外濾過の二つの原理により血液中の老廃物と余分な水分を除去した後、血液を患者さんの静脈に返します。
![人工透析](https://www.kumanoji-clinic.or.jp/wp-content/uploads/2020/10/toseki_07.jpg)
![人工透析](https://www.kumanoji-clinic.or.jp/wp-content/uploads/2020/10/toseki_08.jpg)
![人工透析](https://www.kumanoji-clinic.or.jp/wp-content/uploads/2020/10/toseki_09.jpg)
【 シャント 】
人工透析を受けて頂く患者さんには、透析の効率を上げるためにシャント手術を受けて頂きます。
通常血液は、心臓から動脈により全身に送り出され、血液が流れる血管はどんどん細くなり、最終的には毛細血管の中を通り、全身の組織に血液が運ばれます。
そして組織に酸素と栄養素を届けた後、組織で産生された老廃物を回収し静脈を介して心臓に戻ります。
透析患者さんでは、動脈と静脈を直接つなげる手術を行います。
これをシャント手術と呼びます。
そして動脈血が毛細血管を介さず直接静脈に戻るようにします。
シャントとは間を飛ばした近道を指す言葉です。
人工透析の場合、動脈の血液が毛細血管を飛ばして直接静脈に戻るルートをシャントと呼びます。
シャントの動脈側から、血液を取り出しシャントの静脈側に血液を返します。
シャントでは、通常より多くの血液が流れることができるので、効率よく血液を取り出し戻すことができます。
このシャントが機能することが透析には必須です。
ですから透析患者さんは、日頃からシャント管理に細心の注意を払うことが求められます。
シャント管理としては図のようなことが大切です。
![人工透析](https://www.kumanoji-clinic.or.jp/wp-content/uploads/2020/10/toseki_10.jpg)
シャントの閉塞予防薬には、抗血小板剤と呼ばれる種々の薬剤があり、透析患者さんには必要に応じて服用してもらいます。