病気のこと

言語障害

言語障害

言葉がうまく話せないことを言語障害と呼びます。
言語障害には大きく分けて二つあります。
つまり、言葉を話すという作業は、顎、喉、声帯などの声を発する部位を動かすことと、頭の中で文章を組み立てることの二つの作業から成り立っています。

このうち前者の作業が障害されることを構音障害と呼び、後者が障害されることを失語症と呼びます。
構音障害は種々の神経疾患で起こります。
代表的なものは脳梗塞です。
所謂呂律が回らないという症状です。
「ラリルレロ」が特に難しくなるので、「ルリもハリも照らせば光る」と患者さんに言ってもらう検査をします(只、この文章の意味が分かる人が少なくなってるは問題です)。

体のバランスを取る小脳の障害を起こす病気でも構音障害が見られます。
丁度酔っぱらったときの様な話し方になります。
というのは、酔っぱらったときの症状(千鳥足、舌がもつれる)は小脳の機能がアルコールで低下したためだからです。
パーキンソン病でも構音障害が起こります。

この病気では、声が小さくなり、言葉が出にくくなります。
これに対して、失語症は、前回もお話しした通り、文章を作ったり、文章を理解したりすることが出来なくなることによる言語障害です。

頭の中に文章が出てこなくなる失語症(運動性失語)と言葉が理解できなくなる失語症(感覚性失語)に大きく分けられます。

また、関連した障害に字が読めなくなる障害(失読症)や字が書けなくなる障害(失書症)もあります。
これらの障害は大脳の言語に関する場所の神経が失われて生じます。
脳梗塞のほか、脳腫瘍、痴呆などでも見られます。

構音障害も失語症も意志の疎通が出来なくなるという点で非常に深刻な症状といえます。
人として生きていく上で大変つらいことです。
薬物による治療も有効な場合がありますが、大切なことは周囲が暖かく見守って、患者さんが言葉を取り戻す努力をすることを助けてあげることだと思います。
手足の麻痺以上につらいリハビリですから、辛抱強く介助してあげることが大事なのです。