独り言

春愁

春愁

院長のひとりごと224

私は大学院の博士課程を修了後、薬理学教室という患者を診ない基礎医学という分野の研究室で、約7年を過ごしました。
その時は春になり、キャンパスの桜が咲く頃になると何とも言えない憂鬱な気分になりました。
春は大学に合格したり、専門課程に進級したりしたフレッシュマンが生き生きとキャンパスを闊歩する姿が何ともまぶしかったのです。
これといった成果を上げることなく、また春を迎えてしまった自分と重ね合わせてそう感じたのだと思います。
今はどうかというと、春桜が咲く頃はそろそろ花見時だとウキウキしている自分がいます。
精神衛生上は大変望ましい状態ではありますが、それは取りも直さず大志を失った自分の現状でもあります。
家内の母親は70歳を過ぎてもあれをやってみたいこれをやってみたいと、大変意欲的な人でした。
世間には80歳を過ぎてから新しい挑戦を成功させた人もいらっしゃいます。
全てはその人の意欲次第だということでしょう。
とすれば私も何かしらの目標を持つべきであるとは思うのですが。
最近の価値観は一言で言えばローリスク、ローリターンです。
冒険しないで安定を求める傾向が顕著です。

クリニックの経営もようやく銀行からの借り入れが完済された今、新たな投資は極力避けています。
私生活でも新しい趣味を持つことなく、日々テレビドラマとメダカの飼育に明け暮れています。
金沢にいる親友は幼児教育に情熱を燃やし、今や金沢でのオピニオンリーダーとなる勢いです。
会って話すと熱い言葉が止めどなく溢れてきて、何時も圧倒されながら聴いています。
現状を維持することにはそれなりの意味があると思うので、自分の毎日に全く意味が無いとは思っていませんが、何かしらの目標を持つことはきっと必要でしょうし、目標が出来た時新たな視界が開けるだろうという漠然とした期待があることも事実です。
小学生の頃は一日が気の遠くなるほど長かったですが、今は一週間が目の回る早さで過ぎ去っていきます。
毎日をもっと大切にしなければいけないと、切に反省するこの頃です。