病気のお話

糖尿病のお話

4.ビグアナイド薬、チアゾリジン薬

これらの薬剤は、インスリンが作用して糖分を取り込む肝臓や筋肉に作用して、インスリンの作用を増幅させる薬剤です。
インスリンが作用しにくくなる状態を、インスリン抵抗性が増すと言いますが、このような状態を改善させる薬です。
膵臓への負荷はありませんから以前はよく処方していました。ビグアナイド薬は安価でありアメリカではファーストチョイスとなっています。
チアゾリジン薬はそれよりは高価です。
両者とも血糖降下作用はそれほど強力ではないので私は現在はほとんど処方していません。

5.SGLT2阻害薬

この薬剤は最近開発されたものです。
糖分は腎臓でいったん尿中に排泄された後、血液中に再吸収されます。
この際吸収の経路であるSGLT2を阻害して、再吸収を抑制し糖を強制的に尿中に排泄して血糖を下げる作用があります。
この薬剤も膵臓への負荷はありません。
しかも血糖降下作用はかなり強力です。
さらにこの薬剤には体重減少効果、血圧低下効果、内臓脂肪減少効果が言われており食事療法ができない自己管理不良のため血糖コントロールができないメタボリック症候群の患者さんにぴったりの薬剤です。

かなり効果の発現が早いので「どうせ血糖は下がらない」 と開き直っていたメタボ患者のモチベーション回復にも役立っています。

私はこの薬剤を一番評価しています。

この薬は尿中に糖分を強制排泄するので利尿効果があり頻尿となります。
結果として脱水になるリスクもあります。
ですから患者さんには「この薬はおしっこを出せば出すほど血糖を下げる薬だから沢山水分を取って沢山おしっこを出してください」
と説明して処方しています。

6.GLP-1アナログ

この薬剤は注射剤でインクレチン受容体に作用して血糖を降下させる薬です。
効果はかなり高いですが注射薬という点で患者さんの抵抗は大きいといえます。

糖尿病
糖尿病解説図

薬物療法で大切な点はどの薬を使うかということよりどうやって患者さんにきちんと服用してもらうかという点です。
そういう観点からいうと最近開発された2剤の合剤や週一回投与製剤は患者さんの服薬がより確実になるという点で
注目すべき薬剤であると思います。

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